色は匂へど…

無理が通れば道理が引っ込む

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背徳の17番線

そのときの私は、これほどまでに多情な自分をバカだと思ったことはなかった。

自分のとった行動に、驚きながらも酔いしれた夜。

何から書き残せばいいのか、頭の中がまとまらない。

混乱している自分が滑稽でもある。


○○年冬、その日私は高校の仲間たちとプチ同窓会をしていた。

21:30
私の携帯電話への着信音。

その日の私には、PTA関係のメールや電話が何度も入っていた。

どうせまたその一つだろうと思い、着信画面を見ると

それは同い年の彼、勇さんからだった。。。

私はみんなの目の前で堂々と電話を取った。

友人の唇が『またPTA?』と動いたのでうなずきながら外へ出たのだった。

勇「今大丈夫?」
私「うん、大丈夫。どこから?」
勇「今、上野駅。もうホームの中だけど。」

上野?!

同じ場所にいるんだ!!!どうしよう?!?!

一瞬私は動揺した。。。


話を続ける前に、その頃の勇さんとの現状を書いておかなくてはならない。

彼の家庭内は子供のことで大変な状態。

なので、その段階で、もう3ヶ月ほど逢っていないときだった。

私は自分からのメールさえ遠慮しているような状況。

そして彼は、その電話の前日まで1週間の海外出張に行っていた。

『今から行ってくるよ』のメールと、

『今、帰ってきたよ』のメール。

私は、『お帰りなさい。』とだけ返信したのだった。

勇さんからの返事は、

『家庭を離れてようやくキミのことを思い出した。1週間ずっとキミを想っていたよ。』

そんな状態だったので、ずっと逢っていない私たち。

今、こんなに近くにいるというのに。




とりとめのない話を5分ほどして、私は仲間たちのいる席に戻った。

でも、そろそろお開きの時間。

すぐに店を出て、みなそれぞれの帰路へ向かうためJR上野駅へ。



21:45
私はダメ元で彼ににメールを打つ。

『何時発?それとももう出ちゃった?』

勇さんからは『10時丁度発だよ』という返事が!!

私は直接電話をかけた。

私「何番線のホーム?」
勇「どうした?どこにいる?」
私「さっきまで、同窓会で駅の近くの居酒屋にいたの。
  ダメ元で電話してみたの。」
勇「17番ホームだよ。」
私「顔だけ見に行く。17番線がわからない!!」
勇「わかりずらいとこにあるんだよ。」

私はすでに自分の乗るホームの1番線にいたが、

ずっと逢っていなかった彼に逢うために走った。

電話を耳にあてたままで。

でも、上野駅の構内は、思いのほか広くて、

探しながらだから、なかなかたどり着けない。

そしてやっと見つけた17番線ホームだけど、

そこは特急が発着するところで、

改札の中にもう一つ小さな改札があり、ホームまで行かれない。

私「改札があってそっちまで行かれない。」
勇「そのままそこにいて。」

すると、向うから、彼の走ってくる姿が見えた!


21:57
ようやく逢えた。

何ヶ月ぶりかにお互いの顔を見ることができたのだ。

改札が邪魔だったけれど、私たちは抱き合った。

「ずっと逢いたかったよ。」

そう言いながら、彼は人目も気にせずに私にキスをした。

そしてまた私は彼の腕の中に。

「まだ暫らくはゆっくり逢えないけど、待っててくれるかい?」

「大丈夫。顔見て安心したから。待っていられる。」

涙が出そうになったけど、小さい私は彼の胸の中にいたから、

きっと泣きそうな顔は見られていないはず。

ほんの2分ほどの逢瀬。 本当に、たった2分だけの逢瀬。


22:10
私は帰りの山手線の中。

マナーモードにするのを忘れた私の携帯に、

勇さんからのメールの着信音が鳴った。

『逢えて本当に嬉しかったよ。
 こんなに胸が高鳴って、愛していることを再確認した』





私はそのときまで、楽しいことだけに重点を置いていた。

こんなに切なくなったことは初めてかもしれない。

でも、切ないことがツライことではないということも知った。

彼の家庭事情がどうあれ、実際のところ、

私の知ったこっちゃないのである。

逢えない辛さや切なさは知らなくても、 もしかして逢えるかもしれない、

という小さなチャンスを逃したくなかったことは事実だし、

そんな感情が私を走らせたのだ。

改札越しに顔を見る瞬間まで、

どれだけ逢いたかったのかという気持ちを忘れていただけ。

そう、年がら年中オトコのことを考えてるわけじゃない。

私には私の日常の生活というものがある。

実際問題、自分の生活の方が大事。

でも、アノ時は、確かに勇さんに逢いたかった。

夫に対する罪悪感とか、一切抜きにしたとしても。

ちょっとだけ切ない背徳の夜。

そしてまた、すでに日常生活に戻り、

そのときの気持ちを備忘録としてここに書いてる自分がいる。
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*Comment

ス・テ・キ♪ 

映画やドラマの1シーンを見ているよう・・・
やっぱり涼子さんの文章はスゴイね!

「切ない」って恋ならでは。
恋する気持ちが無けりゃ、「切ない」って感じることないもの。
ホワホワした幸せと、キュンとする切なさと
どちらも大切!堪能したいわ♪
  • Jey 
  • URL 
  • 2006年05月13日 08時15分 
  • [編集]

会えない時間 

会えない時間が
相手への思いを昇華させていくのですね。

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  •  
  •  
  • 2006年05月13日 14時09分 
  • [編集]

う~ん、可愛い(余計なお世話かぁ・・) 

木曜は上野で飲み会
普段殆ど行く事の無い場所なんだけど
17番線かあ・・・・

確か学生の頃田舎帰る時には18番線だったような気がする
あの頃とずいぶん変わっちゃった上野駅だけど

駅ってやっぱりいろんなオモイ残しちゃうよね
  • aqua 
  • URL 
  • 2006年05月13日 19時43分 
  • [編集]

泣けました 

はじめまして。涼子さんかっこいい。すごく気持ちわかります。でもなにがかっこいいって「知ったこっちゃない」と本音をさらりと言えるとこ。
実は今日、彼とピリオド。いやんなるんだ、私あてのラブメールを酔った勢いでそのままにして寝ちゃったものだから…大騒ぎ。余波は回避できて大波は彼がかぶってはくれたんだけど。私もすべてをすてて荒波にでる勇気は持てなかったし…。
でもでも大事な彼だったんだけど。そんなこともあって読んでて泣けました。
  • sizuku 
  • URL 
  • 2006年05月13日 22時50分 
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駅って 

切ないよね・・・
  • 宵闇亭夢猫 
  • URL 
  • 2006年05月14日 00時45分 
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  •  
  • 2006年05月14日 07時24分 
  • [編集]

くぅ~ 

ええ話や、うん

 

>Jeyさん
はぁ~。。。思い出すと切ないわん。
私にもこんな気持ちがまだ残ってたw

>まさひろさん
いつもいつも思ってるわけじゃなくても、
心のどこかにいるってことでしょうね。

>鍵コメ1さん
えへ。あの改札って、なんでまた改札があるんだろ?

>aquaさん
上野駅の思い出は他にもありますよ。
ほら、地下鉄上野駅で、
aquaさんとラブさんに、とんでもない電話聞かれたこととか。爆

>sizukuさん
ピリオド、辛かったでしょうね。。。
私の文章で泣いてくれてありがとうございます。
今度は笑いにきてくださいね。

>夢猫さん
2分だったからこそ、余計に想いが残りましたよ。

>鍵コメ2さん
コメントありがとうございました。
ちゃんとお返事したくても手だてがありません。
こちらでサラリと、ごめんなさいね。

>こうさん
たまにはいいっしょ?w
  • 涼子 
  • URL 
  • 2006年05月15日 12時51分 
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17番線 

フレッシュひたちで、誰ひとり見送る人も無く、17番線から水戸へ旅立ちました。アレは寒い季節だった。
涼子さんのように泣ける話だったら良かったな。
  • 6-30 
  • URL 
  • 2006年05月23日 12時52分 
  • [編集]

6-30さん。 

あ~、あの17番線は「フレッシュひたち」というのですかぁ。
切なかったですよ、ほんとに。
この私が(笑)泣きそうになったほど。
  • 涼子 
  • URL 
  • 2006年05月23日 17時45分 
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