fc2ブログ

色は匂へど…

無理が通れば道理が引っ込む

Entries

あの夏、空港で。

勇さんが九州に飛び立つその日、

「お見送りに行きましょうか?」と私は言った。

移動時間を含めて、ほんの2時間弱の逢瀬。

慌ただしい食事を終え、ゲートに急ぐ彼。

搭乗までに、あと15分。

そのとき、私たちの視線がクロスした。

勇さんはほとんど無言で歩き出し、

私はそのあとを付いてゆく。

キョロキョロと周りを伺うわけでもなく、ごく自然に個室に吸い込まれる。

その頃の私はまだ、匂いを嗅ぎたいなんて言うこともできず、

ただ抱きしめられたときの匂いをそっと感じる。

永遠の別れでもないのに、空港っていう場所は、

何故かセンチメンタルな気持ちにさせられてしまうものなのだ。

彼の股間で起こっている私への欲情を知り、

私はソレを鎮めたいと素直に思う。

「僕だけなんてごめん・・・」

そんなことはかまわない。だから、

私の目の前で、その熱い情熱を見せて。。。



搭乗口に並ぶ勇さんは、何度も何度も振り返り、

私の居場所を確かめる。

大丈夫、あなたの背中が見えなくなるまでここにいるから。

帰りは一人だけど、

あなたの匂いがココにあるから寂しくない。



あの夏、空港で、

私はたった一人でヒロインを気取った。









スポンサーサイト



  • [No Tag]

*Comment

いいなぁ~ 

お互いがお互いを思い、そして愛し合える。
場所、時など関係なく…
理想ですよね
きどってるのではなく、自然とそれが出来る涼子さんは、間違いなく勇さんにとってのヒロインなのでしょうね
  • 定吉七番 
  • URL 
  • 2005年08月22日 00時52分 
  • [編集]

定吉七番さま 

ほんの数日関東を離れるだけ、
なのに、ああいう場所って、何故かキュンとなる。
空港でさえこんな感じですもの。
きっと、シンデレラエキスプレスって、
それはそれは感情移入しちゃうんだろうな~w
  • 涼子 
  • URL 
  • 2005年08月22日 14時36分 
  • [編集]

コメントの投稿

管理者のみ表示。 | 非公開コメント投稿可能です。

ご案内

プロフィール

真行寺涼子

  • Author:真行寺涼子
  • まだ女として機能する50代w

    17歳年下の康平とのことやら、
    過去の男のことやらのお話。

最近の記事

最近のコメント

月別アーカイブ

天気予報


-天気予報コム- -FC2-

ブロとも申請フォーム

フリーエリア

ブログ内検索

ブログパーツ
byできるじゃん